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朝夜関係なく盛大に鳴る月子からの着信を知らす音にこの時ばかりは少し恨めしくなる。時計を見ると8時過ぎだった。あぁ、みんなはもう学校に行く時間かあ、と思いつつ、しぶしぶ通話ボタンをおす。 昨日の学校の途中で頭が重くなり保健室に行くと風邪の診断。そのまま強制的に部屋に戻らされ寝て、今起きた。いや、正しくは起こされた。さすがに寝過ぎかなとも思うが、こんな日ぐらい目が覚めるまで寝かせてくれてもいいんじゃないですか?

「もしもしー?」
「哉太!?雪だよっ!雪!初雪!!」
「あのな、俺風邪引いてんの。もうちょっと寝かせてくれよ…」
「何それ!24時間以上ぶりに彼女の声聞いてのその反応は傷つくよー」
「はいはいわかったから。おやすみ~」
「~っ哉太のバカ!!」

ブチッと切られ一体何だったんだと不思議に思いつつ電話を横に置く。後でまたご機嫌を直してもらうのが大変だなあと思いながらまたまどろみ始める。 するとすぐに今度はメールの受信音。

sub:外見ろバカ!!

本文無しのそのメールを見てカーテンを除け、外を見ると、とっても不機嫌な顔をしたお姫様と雪だるま。その横に馬鹿デカい字で ダイスキ! の文字。

「ちょっ…!」

こんな朝早くから雪だるまなんて作ってたのかお前の方がバカだろ!と思いつつ、窓を開けると、

「早くよくなれー!」

と彼女は膨れっ面のまま叫び、手をぶんぶんと振り俺に別れを告げると、ずんずんと効果音がつくような歩き方をしながら学校に向かい出した。 待てよ!まだ俺礼も言ってないし!とりあえずパジャマに上着を一枚引っ掛けて寮を飛び出した時には月子はもう大分遠くに行ってしまっていた。

「追いつけるか、俺…」
追いつけなくても追いかけるだけだけどな。
横目で彼女が作った雪だるまを見て、顔が崩れないようにするのに必死だった。


カなロミオ気なジュリエット