冬は早朝が素晴らしい。

 かの有名な清少納言大先生はそう言ったそうだ。

しかし、私が現代人の一般の思 考回路で考えてみたところ、なぜそんな風になるのか一向に理解できない。

しようとも思わない。

冬の早 朝なんて糞くらえ、だ。

寒くて仕方ないし、冬なんて季節はできるだけ長く布団 の中にいた者勝ちなんだよ、絶対。

というひねくれた回答にいきつく。

それが普 通だよ。

 

 

「うへあー!!さむい!!寒いようー!

 

 

それでも、ぐだぐだと悪態をつきながら自分にルールのためだけに

外に出て きてしまう私はただの馬鹿やろうだって自分で自覚があります。

でも!私をただの大馬鹿やろうだって決めつけるのはちょっと待ってほしい。

んな早朝に出てきてシャベルを握らなきゃいけなくなったのも、

こんなに未練た らたらな子になっちゃったのも、あれもこれも全てあのめちゃくちゃな生徒会の せいなんだよちくしょう。

 

 

 「注目!みんないるな!よし、じゃあ聴け!!明日の朝7時から毎朝校舎の前の雪掻き を行うことにする!!

 「「えーっ!」」

 「反対は一切認めない、以上だ!

 「ちょっと待ったーっ!私は反対です!

 「認めないと言っただろうが!

 「横暴!?

 「今更ですね」

 「ぬいぬーい、俺朝起きれないから無理だー」

 「同意!!

 「僕はいいと思いますよ」

 「「どこが!」」

「他の生徒の皆さんが雪で濡れたまま校舎の中に入られるのに困っていたところ ですから。」

「別に朝じゃなくてもいいじゃんかよー」

 「いや、朝じゃないとだめだろ!!

「だめじゃないってー!!

 「会長ー、朝は寒いですよー?

 「いいじゃないか」

 「どこが

 「とにかく明日朝7時校舎前に集合だ、解散!

 「「……」」

 

 反対意見は秒殺。

翼君と2人でげんなりしたのを覚えている。

 その次の日の朝は予想をはるかに上回る寒さだった。

 

 

 「うあーん!!寒い寒い寒いよー!!

 「ぬーん、もう俺無理だ

 「こらー、2人とも起きろー」

 「おかーさん、おとーさん。月子はもうダメかもしれないです…アーメン…」

 「ほら翼君、ちゃんとシャベルを持って下さい。」

「ぬぬっ、眠くて力が入らないー」

 「会長、寒くて死にそうなのでありまする

 「全くお前達は!それでも若者か!?しっかりしろ!おりゃ!

 

 シャベルにのっけた雪の山は何よりも重力に従順。

 

 「「ぎゃー!!」」

 「はっはっは!!ざまあみろ!!

 「会長のばかー!!

 「ぬいぬいのあほー!!

 「なにをー!?

 …3人ともちゃんと雪掻きしてください。」

「うりゃっ!

「うわっ冷てっ!何すんだ翼!!

 「ぬはははー!ぬいぬいが仕掛けてきたんだからなあ!!

 「いっけー翼君!!

 「月子!!お前も同罪だ!!

 「ぎゃー!やめてー!!

 「いい加減に…!!

「あ」 「うわ」 「げっ」

 

 

会長が投げた雪が青空君にクリティカルヒット。

おかーさん、おとーさん、これは死にます、確実に。

3人の気持 ちが1つになるという奇跡が実現した瞬間だった。

 

 

 「ぬいぬい、そらそらすっげー怒ってんぞ?

 「あのー、青空さん。後ろに黒いオーラが見えるんですけどもなんで笑顔なの!?

 「す、すまん颯斗!!

 「僕言いましたよね?ちゃんと雪掻きしてくださいって。これ以上僕の仕事を増や す気ですか?

 「「「ごめんなさい」」」

 

 ちゃんと雪掻きをした日なんてほとんどなかったけど青空君に毎日の様に怒られ ながらも

朝の時間が楽しくて毎日毎朝開かない目を擦りながら校舎の前まで駆け ていった。

みんなが今の私を見たら「お前何真面目に雪掻きなんてしてんだ!」って笑う。

会長なんて自分 から提案したくせに私のことを見て笑うんだ。

挑発は戦闘の合図。それが生徒会の暗黙のルール。

このやろー!って思いっきり雪 を投げつけてやるんだよ。

 はあーと手に息を吐き擦り合わせても、暖まらないものは暖まらない。

それでも懸命に手を動かす。ざっくざっく。こんなに雪掻きを一生懸命したのは 初めてだ。

 誰もいない校舎前で1人寒空を見上げる。 柄にもなく感傷的になる自分を誤魔化すためだけに

手を動かした。

冬は影を恋ふ