「先輩は僕に すき って言ってくれたことありませんよね?」
「へ?」
せっかくのデートだけどやっぱり学生という身分は辛いもので、ここは校内の食堂。
お金がないのも理由だが、2人ともめんどくさがり屋なのも理由だ。
6人掛けの机を2人で独占という食堂の贅沢な使い方はこの時間ならではで、私はこの時間がすごくすきだったりする。

「そうだっけ?私言ったことない?」
「ありませんよ。すきって言うのはいつも僕。先輩も言ってみませんか?」
「直球だねえ、梓君。」
「まあ、それが売りですから」

くらってしまった木ノ瀬梓必殺スマイル。
くそう、可愛いなあ!

「好きだよ梓、本当に。何回言っても足りないくらいっ!すきすきだーいすき!」
「はい、僕も先輩のこと愛してます。」

こうして私の渾身の直球ストレートで投げた愛の言葉は、カコーンと余裕ともとれる満面の笑みで打ち返されてしまいましたとさ。めでたしめでたし!



ホームラン!